パンデミックは人類に何をもたらしたのか
- 2021.08.03
- アフターアース
パンデミックは人類に既に多大な影響を与えている。人類に直接与えた脅威は高い訳ではないが、高度に市場が発達した現代社会では最も経済に影響を与えた感染症になっているのは間違いないだろう。既に世界は未曽有のロックダウンを強いられたし経済的影響も膨大な金額になっている。感染症としてとても強力とは言えないが、却ってその微妙さから恐怖の連鎖を引き起こし、広範囲に影響を及ぼしているのです。
良い影響もある。mRNAワクチンが予期せぬほど早く実用化された事だ。もう既に実証段階にあったものだが、製薬会社も実用化には中々踏み切れなかったものだ。それがパンデミックの中での緊急使用という強力なフォローの中いち早く実用化に漕ぎつけ、これは人類の医療技術を5年から10年位早めた事になる。
また新しいパンデミックに何も対応できなかった事も大きな反省点だ。これまでも部分的なパンデミックはあったがこれまでは感染症の方が余り広範囲に広がる物でも無かったのが幸いしてパンデミックにはならなかった。しかし今回はこのウイルスを認識した時はもう止める機会を失っていたようです。
ウイルスは強すぎれば即座に対応するし、弱ければ無視されますが、今回は絶妙なラインで強すぎず弱すぎず。しかし初期の武漢の騒ぎを見れば殺人ウイルスと思ったはずなのに、どうして海外検疫が発動しなかったのか甚だ疑問です。
しかし当初は若者は殆ど症状が出ない人も多いと見られたためこのウイルスの毒性の評価に戸惑ったのもあると思います。そういった混乱もありロックダウンや若者の反発や違法パーティ等が繰り返されました。
また当初は死亡率もそんなに高くはないと思われ国民が全員感染すれば集団免疫が得られ、ウイルスを無効化できるという考えもありましたが、ウイルスが強力化したこともあり、ワクチンに頼る政策に移行していきました。
そのワクチンも当初は95%と高い効果を発揮しウイルスに対処できましたがデルタ株は再び感染でワクチンが効かなくなるような場面も見られます。しかし重症化リスクは防ぐ事でロックダウンのような事は避けられそうです。次々と判明するウイルスの正体は人類に新たな知見を齎しましたが、次の感染症にどれだけ今回の騒動が生かされるかで人類の未来は大幅に変わって行くでしょう。
一過性の禍に済ます事なく、防衛システムをしっかり構築して次の事態に備える事が出来るかに全てはかかっています。日本は特に今回の件では反省点が多い。欧米のようなロックダウンも出来ない。病床は通常医療の病床が使えず、感染症病床は1/10という限られた病床しか使えず、感染症の患者難民が発生しました。
日本は幸いなぜか欧米の様に感染症が今までは爆発感染しませんでした。なのに病床が1/10なので欧米と同じ様に医療ひっ迫が起きてしまいました。非常事態の法律もなく、強制力を持つ法律もなく、ないない尽くしの平和ボケ国家であることが露呈したわけですが、戦争放棄は国の中枢の基本骨格のない米軍に守ってもらう事が前提の不完全国家である事が明らかになりました。
戦争は無くても感染症が起こらない未来はあり得ませんから、今回の事態を踏まえて強制力を持った法律の整備は待ったなしです。せめて感染症に限っても強制力を持った法律を整備できなければ、より毒性を持った感染症が発生した時、間違いなく日本は打撃を受けます。それだけは絶対に避けなければなりません。
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