新感染症の現在地、日本ではどう受け入れられているのか

新感染症の現在地、日本ではどう受け入れられているのか

ワクチン予約が殺到していてネットや電話がパンクしているというニュースが流れる。今は対象者が65歳以上という事で死亡率がもっとも高い年代なので死の恐怖から逃れたい人々で予約が殺到しているのだろう。また早く前の様に日常生活を取り戻したいという人も多くいるかもしれない。

しかし日本には元々ワクチン懐疑派は多く、子宮頸がんワクチンの大いなる失敗を忘れてはいけない。元々子宮頸がん自体が日本の中でコンセンサスが得られていない中でワクチンをいきなり始めたのが反発が大きくなった原因だろう。医療関係者の中では問題意識を共有されていたかも知れないが、国民の間では全く危機感が熟成されていなかった。日本の中で問題意識が全く共有されていない中で欧米中心で決められたワクチン接種に激しく拒否反応を引き起こしてしまったのである。そもそも日本人の体質に合っているのか。そういう疑問にも答えられずいきなり決まったしまった感が強かった。

またこれまでも接種での事故の記憶でワクチンが忌避されると言われているがワクチンの事故はそれ程多い訳ではない。調べてみるとワクチンだけに限ると京都・島根ジフテリア予防接種事件と新三種混合(MMR)ワクチン禍の2件しかない。後は接種や薬害に関わる物であり、その辺がワクチンと結びついて一緒くたになっている印象である。

それで、新感染症である。当初は圧倒的に不安要素が多かった。通常2~3年はかかるワクチンが1年未満で完成、接種が始まった事。mRNAワクチンという今まで実用化されていなかった技術が使われている事。欧米ほど感染状況が酷くない日本では様子見が大半を占めた事。それらが合わさって日本はワクチン確保が大幅に遅れた。

そんな中で様々な陰謀論や都市伝説紛いが国民の間でも広まっている。一番初めに広まったのがワクチンが遺伝子に影響するというものだ。これはmRNAワクチンの名前や仕組みから影響されている。このmRNAワクチンは体の中に入り細胞内に入ると新感染症の突起部分だけを作成するのだ。ワクチンの中のmRNAは新感染症の突起部分だけの設計図がありそれが人間の細胞内で作られる。突起部分だけしか作られないから人間に悪さしないし無害なものだが、これが体の中では新感染症と誤認され抗体が出来て予防につながるという仕組みである。

今までのワクチンとの違いは、これまでは無毒化したウイルスなどを入れていたのに、今回はこのmRNAというのを入れるのである。これが遺伝子の仕組みを利用しているものだから直接体に遺伝子を入れられると短絡して恐れられているようなのである。また今回がこの仕組みが初めてという事もあり将来どういう影響があるかも知れないということも慎重になっている側面である。将来どうなると言われれば本当の所は誰にも分からない。科学的というのは100%はないので99.9%安全とは言えても完全とは言えないのである。mRNAは不安定で直ぐ壊れてしまう。だから短時間しか機能しないのでいつまでもウイルスの突起を作られ続ける事はない。すぐ壊れてしまうから将来に影響を及ぼさないと言われている。我々庶民としてはそれを信じるしかないのが現状である。

この壊れやすさは安全の為だから、-80度で保管しなければならないし、常温で溶かしたら6時間以内に使わなければならないと制約が多い。液体で保管する場合振動も与えてはいけないし、だから冷蔵での輸送も推奨していない。日本は一部個別接種で冷蔵輸送を試みるようだが、ファイザー社はこれを認証していないという。

またアストロゼネカのワクチンでは血栓の症状が出る人があったり、やはりどのワクチンでもごく稀ですが死者が出たりアナフィラキシー 反応が出ます。特に高齢者の死者はワクチンの因果関係が明確でないので余計不安を掻き立てる結果になったりします。

だから今は賛成派が殺到している段階だがワクチンが進んで行くと懐疑派が普及の足かせになって行くでしょう。この時政府はどう対応するのか。米国ではワクチンの接種率が頭打ちになってきて、ワクチンをした人にはマスク無しの外出や旅行を認めたりしてインセンティブを与えている。またある州では1億円の宝くじを用意したりしている。

政府がワクチンを進めるのは経済の為である。経済活動の為には自由な行動が欠かせないので感染を抑えながら経済を再開させるにはワクチンが必須なのである。政府は人の健康を考えてワクチンを考えている訳ではない。いち早く経済を戻したいからワクチンを急ぐのである。そこの本音の部分を隠してワクチンはあなたの為です等と言うのであれば人々は反感を強めるはずです。

その割には政府はワクチンの広報をしっかりやっていないように感じられます。今は数が不足して殺到状態ですが普及していけば当たり前になり普及が課題になって行くでしょう。ただワクチンは必要だと協力を求めるだけでなく必要な情報を漏れなく伝えていく義務があります。そこを隠す事なくオープンに語って行けるかが今後の促進の課題になっていくと思います。