人の死生観が変わる時、パンデミックは社会変革を迫る

人の死生観が変わる時、パンデミックは社会変革を迫る

新感染症によるパンデミックはどうやら人の死生観も大きく変えていくと思います。これまでは生きる事は素晴らしいという観念が大手を振って主流でしたが、死ぬ事がもっと肯定される世の中になって行くのではないでしょうか。

死ぬ権利とか、生きない事を否定されない事が主張されていくと思われます。物語においても圧倒的に生きる事に焦点を当てた作品が多かったですが、変わっていくと思います。命の大切さばかりが強調されて命の価値がとんでもなくインフレーションを起こし、却って価値が急落するような感じでしょうか。

新感染症で昨日まで元気だった人が急に亡くなるという衝撃的な事実が明らかになっています。こういうのも死生観を変える事になるでしょう。

日本では特に最近では生きるは善で、死は悪のイメージで表されてしまいます。それは発展を要請する社会では仕方ない事ですが、一定の割合では容認する必要もあります。

この問題は70年代の頃から医療の発達により、寝たきり老人など社会問題になって安楽死とか様々な問題が提起されています。それからかなりの時間が経っていますが、未だに日本では安楽死は認められてはいません。

これは日本人の人権意識が低い所から来ている部分もあります。もう少し自分の身体を弄られない権利とか、本人の同意無く治療を始めない権利とかが成立する必要があると思われます。日本では医療本位になって本人の意思が尊重されない傾向があるように思えます。

この間のALS殺人なんかもそうですが、本人が依頼したのに家族から殺されたと認定されてしまったら悲劇になってしまいます。

もちろん死が肯定されてしまうとそれこそ持続可能な社会ではなくなってしまうので、社会は中々容認出来ませんが本人の意思を尊重する姿勢は持たなければならないでしょう。もっともっと生も死も軽くなる必要があると思います。余りにも生と死が重く受け止められて苦しくなってしまっています。

見えない敵が突きつけた、誰もが死ぬ無常 佐伯啓思さん