新感染症急拡大、なぜ、どうして、こうなった
- 2021.01.06
- アフターアース
新感染症の感染拡大が年末年始を挟んで急速に広まっている。なぜこうなってしまったのか。それには余りにも遅い行政の対応があったのは明らかだが、もう一度ここまでの流れを振り返ってみます。
【国内感染】76人死亡 最多4915人感染確認 (5日23:50)
思えば、こうなった要因の一つには夏の感染拡大があります。今回の流行の土台も夏の感染拡大が収まり切らず、高水準の感染者が続いた中での更なる急増という側面があります。では何故そうなってしまったのか。
夏の流行では感染者が若者中心で無症状や軽症の人が多かったです。高齢者への感染も余り広がらず重症者も少なかったので、緊急事態宣言にも至らず、酒飲食店の10時までの時短要請で済ませました。感染者数は一定の割合で下げ止まり感が有りましたが重症者が少ない為、軽視しました。
そこが今回の感染爆発とも言える序章になっています。この夏の経験をもって今回も酒飲食店のみの10時までの時短要請で乗り切れると踏んだのです。しかし今回夏の感染拡大との違いは高齢者の感染が比較的多く、重症者の割合が多かったのです。
また夏の感染拡大で軽症者や無症状が多いと言うことも感染を軽視する動向に弾みをつけました。だから感染者が多くなっても人出が多く感染抑制に繋がらず、飲食店の時短しても効果が現れてませんでした。
効果が現れなければ更に強い制限を掛けるのが鉄則ですが、ここに東京都と国の思惑の入れ違いが起こったのです。国は東京都に更に強い8時までの時短を要望しましたが東京都は緊急事態宣言を望みました。これをどっちが先にするかで結局年越ししてしまったのです。
しかし、31日に1337人という未曽有の数字を叩き出してしまい急遽、埼玉県と一緒に政府に緊急事態宣言を要請する事態となりました。それに神奈川県と千葉県が乗った形です。当初、東京都だけなら8時の時短を要求する事で拒む予定でしたが、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県と4者連合となり、拒否の選択が不可能となったのです。
これが百戦錬磨の小池都知事の戦略勝ちでしたが、時、既に遅しの感が強くなっています。これから緊急事態を出しても効果が現れるのは2週間後ですので、そこまでにどれだけ増えてしまうのか予断を許しません。ちなみにGoogle予測では丁度2週間後の1/21に全国で10537人の新規感染者が出ると予測しその後ピークアウトする予測です。
因みに一日の死者数は全国で1/31の529人まで増えると予測しその先はまだ未定です。ここまで被害が広がると余りにも政府や行政の見通しは甘かったと言わざるを得ません。go toトラベルをあそこまで引き延ばしたのも今となっては余りにも無謀としか見えません。
そこまで考えてくると、今回の分科会の仕組みも、また間違いだったのかと言わざるを得ません。また前の様に専門家が警鐘を鳴らすような形に変えないと政治に緊張感が走らないのではと思ってしまいます。
今から考えれば、あの時ああしておけば、こうしておけば、日本はずっと感染者や死者をもっともっと少なく抑えられるはずだったと考えられます。そう出来なかった事は残念ですが、先が読めない人間のする事ですから責められるものではないかもしれません。
兎に角、医療崩壊がこの程度の感染者でも起こってしまうというのは日本が根本的な問題を抱えているように思われます。そういう所も日本が戦時国家体制というのを作れない所から来ています。戦争放棄は立派ですがこういった非常事態への備えを怠って来たという事を深く反省して再構築を急がなければならないでしょう。
11月27日には尾身さんは「個人の努力に頼るステージは過ぎた」と言っていたのに、菅首相は「この3週間がきわめて重要な時期だ。マスクの着用、手洗い、3密の回避と、感染拡大防止の基本的な対策にぜひ協力をいただきたい」と言っていた。これは前日の発言でしたが、結局何らかの制限をかけるような事はなく、東京都の酒飲食店の10時までの時短要請に留まったのは皆さんの知るところです。
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